今回のコラムでは「売却しながら物件探し」というテーマでお話しさせていただこうと思います。
今お持ちの不動産を売却しながら新しい物件を探し、契約することは可能か?ということですが、結論から言いますと「可能」です。
物件を売り出しているということが証明できる書類などをもとに、売却活動を裏付けることができれば、いくつかの銀行ではローンを組むことができます。あくまでも売却できて売却金額がお客様の手元に入るまでのつなぎ的な融資となるため、多少金利は高くなりますが、購入を熱望する物件があるにもかかわらず自宅が売却できるまで時を待つようなストレスからは解消されるでしょう。
しかし、売却する物件が確実に希望期間内に売れるとは限りません。売却を急ぐがあまり買い叩かれるケースもございます。このようなリスクがあることを理解したうえで、つなぎの融資を視野に入れる必要があります。
さてここで大きく問題となるのが、前述のとおり「売却がスムースに進むのか?」ということであります。ここについては、売却を依頼する不動産会社を慎重に選ぶことがすべてになると思われます。
「大手の不動産会社に依頼したから大丈夫」「知り合いの不動産屋に頼んだから大丈夫」といった考えはとても危険です。
これには理由があります。不動産業者は「囲い込み」をすることが多いのです。囲い込みとないったいどのようなことなのでしょうか?
囲い込みとは、「売却依頼を受けた物件の情報を他社に紹介しない」という不動産会社が両手取引と同様に使う手の一つです。
不動産会社は売り手から売却依頼を受けると、そこには責任媒介契約が発生します。その後、売却依頼を受けた物件の情報は業者間で情報共有するために「レインズ(REINS)」という不動産流通標準情報システムに登録しなくてはなりません。これにより、他の不動産業者がレインズに登録された情報を自社の顧客に紹介できる、という流れになるのです。
レインズに登録された物件の情報を気に入ったB社の顧客がいたとします。しかし物件の売却を依頼されたのはA社。この場合、B社がA社に詳細を問い合わせする流れとなりますが、ここでA社は他社に物件を渡したくないので「あの物件は商談に入っています」「まもなく成約です」などと言って断ります。これが囲い込みです。もちろんA社は両手取引をと考えていますから、他社には紹介したくないという裏があるわけです。
以上のように、売却する際は売却を依頼する不動産業者をしっかりと選ぶことが大事になってきます。自社の利益ではなく「お客様の利益」を考えて積極的に宣伝活動をし、一刻も早く適正な価格で売却してくれる業者を選ぶことを心がければ、新しいお住まい探しもにも安心して取り組めることでしょう。